森林分野産学連携プラットホーム アンケートとりまとめ

平成181211

森林分野産学連携プラットホーム

産業側意見・質問事前調査の取りまとめ

 

1.   大学(学部及び大学院)における森林分野技術者教育に期待するもの

 

1-1 現状では学術研究の指向性が高く、実業に関連した教育のウエイトが低いと感じている。もっと実業に近い教育を行ってほしい。

1-2 @ 森林・林業・木材産業に関する基本的な知識及び実験・実習等実地体験の付与

A 各自の専門分野に関して現場の状況に応じた技術指導能力の付与

B  各自の専門分野における課題を自ら発見して解決方法を提案し、説明できる人材の養成

1-3   木材は人間の生活にとって有用な持続可能、再生可能な資源として、将来的にも活用が期待できる資源のひとつである。残された天然資源を再生可能的に収穫していく手法と、人工的な資源造成にもっとスピードを伴って取り組んでいくことが重要な課題となろう。木材という資源の造成と活用という「経済サイクルの創出」面から捕らえ、それが国際的には発展途上の国と人に役立ち、一方我が国の山 村地域社会の復活のキーとなっていくと考えている。
  大学に期待する人材は以上のような観点から、木材を人間生活に おいて重要な資源として捕らえ、地球環境と調和せしめながら生態的 視点も踏まえつつ、かつ地域社会を理解しじっくりと取り組んでいける人を輩出していって欲しい。

1-4   従来の林学の分野のとらわれず、森林を「多目的に利用する」という視点からの教育を期待します。

1-5   @ フィールドが嫌いな社員が多い傾向。フィールド重視の教育が重要。

A 最低限,自然環境に関する事象について興味,関心を持つ,高まるような教育を期待する。

B 素朴に「山が好き,動植物が好き,自然環境の調査をしてみたい,環境問題に興味がある,防災の仕事をしたい」などの「希望,夢等」を卒業まで維持できる実践教育を期待する。

C  人に説明するプレゼンテーション能力やコミュニケーション能力の重要性を教育することも期待する。

1-6  @国際人の育成(一般教養レベル)

   林野庁資料によれば国産材利用率が回復傾向にあり、平成16年実績では19%であり、平成27年目標は25%としている。しかし、なお残りの大半は世界各国から輸入をすることとなる。大学において世界的視野を持つ国際人を育てる教育に期待する。世界レベルで森林資源、森林資源国および森林資源利用の実態把握を踏まえ、更に今後

のあるべき方向を見通し、技術開発に取り組む人材育成が期待される。

 A熱帯・亜熱帯諸国での林業技術研究(研究開発レベル)

  世界的な木材需給と資源の持続性を考えるとき、成長の早い樹木(資源)が必要であり、熱帯・亜熱帯諸国の林業の重要性が益々高まってくる。製紙用原料などを対象とした早生樹の品種改良や研究はなされているが、建築分野などでは現早生植林木では代替できない品質が要求される用途がある。各用途に応じた材質を有する早生植林木の品種改良や研究に期待する。その成果が持続可能な経済社会、産地国利益、日本木材産業の継続発展につながっていく。

1-7 @森林分野の技術者として働く者は、技術者としての品質保証が求められている。「○○大学出」だけでは評価されない時代になった。

A企画書による受注競争が増加している環境下では、事業従事者の品質保証、すなわち、各種の資格(あるいは、能力表示=英語力ならTOEICの高得点など)のあるなしが重要であり、そのことを学生に理解させる必要がある。

B「技術者教育」が示す基準が、学生の学習目標となり、卒業後は、外から良く分かる「品質保証付き卒業生」となるような教育を期待する。

 

2.   森林分野技術者の継続研修のあり方、企業内教育・訓練の実状

2-1    各種学会、講演会、セミナーなどへの参加と発表を奨励している。
海外経験、工場経験を積ませるよう指導している。
本業(紙パルプ産業)の知識つけるように教育している。

2-2 @ 日常業務を通じた技術・知識の継承するとともに、国有林野管理の現場業務を通じて得られた森林整備手法などを報告する場として業務研究発表会を毎年開催

A 森林技術総合研修所において、林野庁職員及び都道府県職員等を対象とした研修を

実施。

2-3 @ 社会科学分野で行われているような社会人教育制度があってもいい。林業の技術は経験の積み重ねがそのまま技術力になることが多いので、10年程度の現場経験を積んだ者が先端技術や新しい森林利用の分野等について、大学院で1,2年研鑽できるようなシステムがあるといいと思う。

  A 入社後2,3年は、林業系の学部ではあまり専門的な指導を受けていない分野である、数理統計学(主に多変量解析)、GIS、地形学・地質学、動・植物種の判定、測量の先端技術、等について業務を通じて重点指導している。資格取得については、当人の意志に任せているが、情報処理技術者、技術士補、を目指すものが多い。研修・受験準備については、社費で保持をしている。

2-4    @ 会社では,社内研修会,現場検討会,報告書発表会などを基本に実践的に行う。

A    学会等のイベントが所在する事務所の近隣で開催される場合は積極的参加させる。現実は,地方都市では講習会などが少ないこと。また業務優先で難しい面が多い。

B    当社では,研修会として新人研修会(入社1.2年対象),中堅研修会(入社5年),幹部研修会(適宜)を行っている。また,現場検討会や報告書の発表会(特に若い社員)を支社単位で行っている。

C    新人研修会(12年時)の主な内容は,下記のとおり。

・地形,空中判読,地質学,地質図作成,斜面災害踏査法。

・水文,水理学,土質力学,構造力学など。

・治山,砂防演習,地下水調査,ボーリング調査。

  モデル現場による地すべり対策計画演習(踏査,判別とりまとめ,発表)。

D 中堅研修会の主な内容は,下記のとおり。

・実践的演習(安定解析,地すべり対策工法計画,設計)

・砂防計画,森林整備計画,緑化対策,土石流,落成シュミュレーション 他

2-5 @ 企業活動においては、目先の、また限られた狭い範囲の技術開発や教育が主体となり、ややもすると、長期的、先端的学問や活動範囲外の情報に疎くなりがちである。先見性やグローバル性を養うためにも就職後の森林技術者の継続教育は不可欠で、大学、学会、学術誌、海外交流他との情報交換を通じて常に広いかつ先端的知識を身につける必要がある。

 A 弊社は林産工学分野の技術者を採用してきた。これらの技術者に東南アジアおよび日本国内の植林について知見を深めるよう現地調査などを通じて教育・指導している。

2-6 技術は日々発展する。そのため継続教育は必要である。ただし、森林分野の技術は多岐に渡っており、すべての技術のプロには成り得ない。オールラウンドプレーヤーではなく、特定の仕事に対するプロ(できれば、能力表示の昇級)になるような教育をすべきである。

 

 

3.   JABEE及びJAFEEに期待するもの

3-1    @ 産業界においてJABEEの認定プログラムの知名度が低いと思われる。
プログラムを終了した人がどのように活躍しているのか分かるようなPRをしてほしい。

A    森林関連分野のプログラムが現在3つしか認定されておらず、
一般の大学課程卒業者との差別化ができていないように思われる。
もっと多くの認定プログラムが出来ることを望む。

3-2 @日本の技術者教育が国際的に正当に評価されるための条件整備

A 森林および森林関連分野の大学教育プログラム認定の拡大

B 認定された教育プログラムを受けた学卒者の専門性が評価される仕組みの提案

C 技術者教育認定制度への森林関連分野の産業界からの要望の反映

3-3 @ 単なる資格取得のコース設定でなく、「この大学ならばこういうやつがいる」と言える実践的な専門教育システムを構築できればすばらしい。

  A 山を歩く、山村地域と人に深く関わる、保護ばかりでなく利用することにこだわりを持つ、そういう技術者を排出できれば・・・・・・

3-4 @ 技術士の1次試験免除という資格取得の特典を意識し過ぎる嫌いがある。

A   関係必須科目しか履修しない傾向になる…ある大学より最近最近聴いた。

B JABEE認定の大学卒業生は,森林生態系や森林の機能論など,森林・自然の基本をみっちり勉強して卒業させてほしい。

B   特に,フィールド実習,演習やワークショップによる演習を重視し,自然に関する好奇心が高まる教育を期待する。

3-5 国際的に、実務上で幅広く活躍できる森林分野技術者を更に育成する方向が望まれる。